第134回(2018/10/28-11/3投句分)

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57名110句 森山文切選
クリスマスソングに乗せて土下座する 中村佐貴
デボン紀の洗濯機からもれる砂 門脇篤史
換気扇回して外の空気読む とわさき芽ぐみ
思い出を共有すると苦くなる 青砥たかこ
半分に切って本音を覗かせる 彦翁
わたくしの架空を虎がゆく音か 亀山朧
鏡台に置いてあったな『桃の花』 ヨーグルト
同僚のタグが気になる午後三時 真島朱火
深まる秋父の髪まで霜降りに 田原勝弘
探偵と部屋干しのハンチング帽 小俵鱚太
しばらくは尖ってますと蟹の爪 宮下倖
純情な秋刀魚の腹を探る妻 多舵洋
明日あたり棒立ちになる銀杏 岩根彰子
ぱたぱたのたのときくちびるのさびし 斎藤秀雄
成否など知らぬ存ぜぬ栗ご飯 むぎのあわ
君の名は巻き舌できんから読めん 香菜
別の龍しろがねの尿まき散らし 川合大祐
どつかれて緩衝材のプレッシャー 冬子
換気扇フェイクニュースを吐き散らす 藤沢修司
終電車うさぎの耳を付けたまま 平井美智子
曖昧な返事に溶ける角砂糖 福村まこと
さりげなく無糖の恋をしています くに
海辺では人魚のはずの魚人たち 御殿山みなみ
ハッピーターンかかげ三日月かえりみち 真中北辰

竜宮で踊る魚の生活苦 犬井隆太
真四角な女の尻に無抵抗 阿部千枝子
カラスから任されているビット列 絵空事廃墟
ふりかえるたび透明な百合が咲く 秘まんぢ
マンホールの蓋を選んで死ぬ羽虫 岩倉曰
キリストの切手を貼って送り出す 芍薬
評:差出人 左の頬
LAWSONの青が眩しい世紀末 あまの太郎
評:救世主の溜まり場
ぬかるみを缶ぽっくりのまま進む 秋鹿町
評:かっぽかっぽとはいかないけれど。

第133回(2018/10/21-10/27投句分)

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44名87句 森山文切選
丸投げの仕事丸めて投げ返す 袴田朱夏
網棚に部長が置いたファッション誌 甘酢
たっぷりと込めた皮肉が通じない 彦翁
0と1抱き合わせればほら未来 たにゆめ
透明人間に飼われる透明犬 岩倉曰
走馬灯二秒で終わる悲しみよ あまの太郎
茶柱のエールに伸びる万歩計 澤井敏治
靴下に爪のアートをしまう秋 淀美佑子
躊躇わぬ君の強さとピアノソロ 藤沢修司
消化の良い言葉しか欲しがらぬ耳 青砥たかこ
三人の娘育てる四角形 まさよし
瓶ビール残して帰るオトナになりたい サトシワタナベ
カシミヤのセーター今日の指名打者 くに
僕が喋るとそれが川柳 ヨッシー
曇り空によるひとつの試着室 平出奔
防音シート鉄骨をひっぱたく 畑中玉菜
猫からの土産(おそらく消去法) 内山佑樹
恋破れ新装開店の痛み 冬子
靴下が穴そのものと気付く朝 西沢葉火
死にたがる人で賑わうタイムライン 小俵鱚太
賑やかな中で孤独な隅の椅子 小林祥司
睡眠不足なマグロが飲むココア 若枝あらう
悪いユニコーンに騙されて渋谷 中村佐貴
失恋の盾にならないコンドーム 秋鹿町

なんとなくワンダーコアに乗る化石 藤井智史
粘り勝つ九官鳥とのしりとり 香菜
孤独でしょうかラー油を足しましょうか 尾崎良仁
マスキングテープの下にある地獄 門脇篤史
砲台の動力になめくじも要る 田村わごむ
ライバルの眉間をせまくする稽古 斎藤秀雄
評:サイコキネシスで。
盛り塩のように末尾にある絵文字 笹川諒
評:絵文字にも正式な作法が、あったりなかったり。
柚子ひとつ残して地球平面化 川合大祐
評:必殺ひとつ残し

第132回(2018/10/14-10/20投句分)

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58名112句 森山文切選
助手席でカーブのたびにフィーと鳴く 香菜
へそくりを挟んだ本の背が歪む ヨッシー
人間に近づいている武者震い はな
飲んで詠まれる句の身にもなれよ俺 袴田朱夏
来光は蜜 禁を犯した地底人 真中北辰
(本人の申し出により削除)
おっぱいに埋もれて眠る月旅行 まさよし
ストレスの抜けた湯船に屁こき虫 阿部千枝子
どれだけの上から目線なのよ雲 くに
入門書ひしゃげる君の個性他 サトシワタナベ
あいまいにうなずく敵に囲まれて よーこ
嵐の日キリンが街で暴れ出す 犬井隆太
図星だったわ誉め殺しの戦法 岩根彰子
出る杭のまんまで平和チンアナゴ 芍薬
隣室のアラームが止まる 歯痛
G線の上で鰹節が狂う 若枝あらう
もっともな言い訳じみたスムージー 淀美佑子
攻防のゆくえは古稀のちゃんちゃんこ 肉球姉
林道をメビウスの輪にする仕事 多舵洋
かんたんな時計のしくみ担う耳 斎藤秀雄
宛名まで女たらしの文字で来る ヨッシー
東雲に小豆のチョコが不味すぎる 笹川諒
遅刻者の右手だけ切っていた爪 御殿山みなみ
赤と青激しく求めあう林檎 小俵鱚太

引力は上から市立乱気流 内山佑樹
へきえきが気体になって消えていく とわさき芽ぐみ
いつ来ても曇天のプラネタリウム 秋鹿町
縁あってエヴァ初號機と詰将棋 秘まんぢ
物置で善人になるリハーサル 冬子
結果的に恋文となる置き手紙 門脇篤史
評:こんな恋、してみたかったなぁ(遠い目)
声優のあだ名のような断末魔 中村佐貴
評:すみぺっ! ・・・ではないか。
好き勝手したあとの東京ばな奈 尾崎良仁
評:ばな奈とばな男の物語

第131回(2018/10/7-10/13投句分)

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55名105句 森山文切選
お小言は連座ですからシオコショー 冬子
去り際が今日イチ嬉しそうだった 岩倉曰
妻の目がセンサーになる盗み酒 彦翁
弁当に仕込む総菜夜つまむ 真島朱火
甘くない梨まあまあと言って食う サトシワタナベ
紙切れにたった五文字の殴り書き 日向彼方
誤字脱字あるから楽しみな会話 青砥たかこ
薬局で医者の評価をする患者 田原勝弘
街灯り指鉄砲で撃っていく 香菜
句読点入れて傾聴ものにする 阿部千枝子
ボロボロの手には恋よりステロイド むぎのあわ
三人称ばかり纏っているピエロ ホッと射て
みぞおちに下がる遊泳禁止札 まさよし
ギアチェンジ秋の星座を吸い込んで くに
セルフレジに叩く小銭のありったけ ヨッシー
ほら穴にクイズを残す原始人 武良銀茶
ここらへん全部いぬなのほんとなの 夏鵜
電池切れですが少しは笑えます 尾崎良仁
海底に眠る信者の喉仏 秋鹿町
縁側でエンドロールを見る老後 あまの太郎
君の飼う異形の鳥を見てしまう 笹川諒
長居してしまう金木犀の膝 岩根彰子
アリクイのいやらしすぎる指使い 芍薬
菊花賞の当たり馬券で鶴を折る 若枝あらう

名は体とせめて雅号でするおしゃれ 敏治
面接のドアノブ冷た過ぎないか 藤沢修司
ピザマルゲリータと照れず云えて、完 toron*
付箋紙に愛されている音楽家 内山佑樹
伏線を糸こんにゃくとすり替える たにゆめ
あたりいちめん口内炎のない埴輪 御殿山みなみ
評:はに丸とひんべえには口内炎ありそう。
オールフリー人質っぽく生きてきた 小川優
評:ノンアルコール人質テイスト
盲点を見合う至近距離の寿司屋 斎藤秀雄
評:カウンターパンチが届く距離で。

第130回(2018/9/30-10/6投句分)

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61名118句 浜﨑結花選







おしゃべりな両目を糸で縫い付ける 須賀琉
雷をヘソに飼ってるのは秘密 麦乃
コスモスに風がダンスを振り付ける 折鶴翔
大戸屋のすぐ側にあるやよい軒 小俵鱚太
ムナシイと何度書いても風である くみくみ
じいちゃんが逝って箒を持たされる 真島凉
くずかごのナイスキャッチにする拍手 小林
真夜中の背徳的なアブラゼミ 甘酢
青空を排除したのち目を閉じよ 杉倉葉
キャラメルを嚙み潰してるワンルーム 西沢葉火
悲しさの見本帳には載ってない 江西レイ
ひたむきな背中についている翼 徳重美恵子
足湯感覚で並んで謝罪する ヨッシー
珈琲を飲んで夜長をすぐ寝る とわ
ポケットを覗いてみたらミシガン湖 あまの太郎
アジフライ集めて海に返す人 あまの太郎
肉まんの中で真理が減っていく 芍薬
何はともあれ赤チンを塗り昭和 岩根彰子
かんたんに殴れてしまう東京都 水沼朔太郎
ワールドエンドらしいですけど二連休 平出奔
また床と対話していて午前二時 toron*
無言電話だが心の声だった toron*
引き出しに畳んでおいた花畑 ただよう
かろうじてわかめラーメンほどの海 門脇篤史





がんばっているね眩しいほど光る たかこ
幸せを分母にしても割れぬ桃 福村まこと
手紙から水が溢れてあかるい眼 斎藤秀雄
手の甲に爆発物の化学式 御殿山みなみ
喋る自販機で嫌になった 歯痛
水漏れに注意と笊に書いてない ヨッシー
評:書かれていないのが当たり前だからこその、そこに着目した面白さ。
くちびるに触れてどんぐりから和音 斎藤秀雄
評:どんぐりの軽い木の実のイメージが和音とよく響き合う。
君泣けば泣くよ鈴虫なんだから 秘まんぢ
評:「鈴虫なんだから」の飛躍が面白い。秋の虫という点で切なさも伝わる。
森山文切選







変身後戻れなくなる初期不良 須賀琉
花になれ思い出せない言葉たち 麦乃
詩を求め南半球渡る鳥 小俵鱚太
林檎だけ持ち込みできるプロジェクト 内山佑樹
天国で「消しゴム」なんて言っちゃだめ 内山佑樹
ムナシイと何度書いても風である くみくみ
背中には愛され人と書いてある くみくみ
愛憎の憎を毛抜きで取り除く 岩倉曰
真夜中の背徳的なアブラゼミ 甘酢
キオトンとギャルのおしゃれな物忘れ 敏治
キャラメルを嚙み潰してるワンルーム 西沢葉火
くちびるに触れてどんぐりから和音 斎藤秀雄
手紙から水が溢れてあかるい眼 斎藤秀雄
跳び跳ねた水滴が描く世界地図 とわさき芽ぐみ
急速に冷え込む壇上の野原 藤井智史
足湯感覚で並んで謝罪する ヨッシー
突然にプロポーズするコルチカム はな
詫状の便箋うっすら鬼薊 よーこ
歯ならびの気になる胡麻煎餅のあと 淀美佑子
喋る自販機で嫌になった 歯痛
台風がひた隠す星の脱獄 芍薬
無言電話だが心の声だった toron*
引き出しに畳んでおいた花畑 ただよう
かろうじてわかめラーメンほどの海 門脇篤史





君泣けば泣くよ鈴虫なんだから 秘まんぢ
捺印の少し手前の絶頂期 平井美智子
流血がもたらしたアイデンティティ 歯痛
何はともあれ赤チンを塗り昭和 岩根彰子
ワールドエンドらしいですけど二連休 平出奔
十字路によくないほうのまあいいか 御殿山みなみ
評:かなり危なそうです。どの道に逃げるか迷う。
幸せを分母にしても割れぬ桃 福村まこと
評:幸せそうなおじいさんとおばあさんだけど、そうでもないのか。
じいちゃんが逝って箒を持たされる 真島凉
評:飛び立てというメッセージ