対談:川柳とインターネット5

「川柳とインターネット」というテーマで、兵頭全郎さんにお話を伺いました。

日付:平成31年1月18日
場所:居酒屋ミライザカ淀屋橋店

兵頭全郎
川柳スパイラル同人

句集「n≠0 PROTOTYPE」
森山文切
川柳塔社同人

毎週web句会主催者

 

1 川柳を始めたきっかけ

本日は「川柳とインターネット」というテーマで兵頭全郎さんにお話を伺います。まず全郎さんが川柳を始めたきっかけをお教えください。
16年か17年前かな、営業で外回りをしていた時聴いていたラジオに川柳コーナーがあって。
ラジオからなんですね。
初めて投句したのは1月で、選者がそれまでの人から変わってくんじろうさんになったんだよ。その時はもちろん面識はないけど。
最初の選者がくんじろうさんだったんですか。
そうなんだよ。題は「始める」だったかな。なんかパッと思いついたのでなんとなく出したんだよね。で、次の週ラジオ聴いたらいきなり特選。
いきなりですか!どんな句だったか覚えてますか?
覚えてる。
「はじめての朝にはじめて見る素顔」
最初の句ですか?未経験で?
最初の句だね。もちろん未経験。
マジですか!すご・・・
よく考えたら「始める」だから「はじめて」は違う気もするんだけど、なんか特選になって。くんじろうさんの前の選者の時はただ聞き流していただけだったんだけど、なぜかその時はパッと思いついたんだよね。
俳句や短歌も含めて未経験ですか?
全然してない。昔バンドをやっていて作詞はしていたので、創作活動という意味では経験はあるかな。
なるほど!バンドですか。作詞歴は長いんですか?
いや、言うても高校大学くらいで、そんなに書いてないよ。
その後もその番組に投句されていたんですか?
うん。放送は毎週だけど題は1か月同じで、それ以来毎月出した。ほとんど入選だったんじゃないかな。
すごいですね・・・
特選を何度か取ると番組に出演できるって仕組みで、電話で参加したんだ。その時点ではくんじろうさんにはまだ会ったことはなかった。
そうなんですね。
そのラジオの時にくんじろうさんが「絵の個展をやる」っていう宣伝をされていて、その個展に会いに行ったのが最初だね。
じゃあその時に句会に誘われたという感じなんでしょうか?
えっとね・・・長なるで(笑)
当時くんじろうさんが「空の会(くうのかい)」っていうネットの句会を主催されててね。お会いした時に勧められて、空の会に投句しだしたんだ。
空の会からですか。実際の句会にもすぐ参加されるようになったんでしょうか?
いや、数年は空の会だね。その頃はラジオは卒業して、空の会だけだったかな。で、ある時くんじろうさんに「句会においで」って言われて参加したのが最初だね。パーセント*の句会。くんじろうさんのほかに筒井祥文さん、石田柊馬さんとかおられて。
*筒井祥文が立ち上げた「川柳倶楽部パーセント」のこと。
すごいメンツですね・・・
当時は全然知らなかったんだけどね。その時柊馬さんにバックストローク**を渡されたんだけど、1句もわからなくて。句も文章もさっぱりわからへん。
 **2003年石部明と石田柊馬が中心となり創刊。2011年終刊。
その後はずっと句会に参加されたんですか?
うーん、半年くらい参加しなかったかな。その間とにかくその柳誌を読んでた。「どうゆうことや」って。で自分なりに「こういうことかな」っていうのができてから半年後くらいにまた参加して、それからはほぼ毎月だね。
「この句が理解できるまでは句会に行かない」のようなものはあったんでしょうか?
とにかくカルチャーショックすぎて。意味わからへんから。ただ、ある時本間三千子さんの「意味なんてあとからついてくるのよ」という言葉***に出会って、「あ、理解しなくていいんだ」というのを感じてから物事が転がり出した感じかな。
***週刊「川柳時評」の下記記事参照
http://daenizumi.blogspot.com/2010/11/blog-post_26.html
なるほど。その後はずっとパーセント句会ですか?
そうだね。あと勉強会をしたり。その頃には空の会の初心者講座の選もしてたね。今考えたら全然何もやってないのによう選者なんかやったと思うわ(笑)
どこかの同人になられたりはなかったのでしょうか?
同人はバックストロークが最初かな。玉野の大会で石部明さんに誘われて。いわゆる伝統系のルートは通ってないね。川柳マガジンには一時期出していたけど。
川柳マガジンも投句されていたんですね。
どのくらい投句していたかは覚えてないけどね。当時やってたwebサイトのデータがあれば分かるけど、もう消えちゃったからなぁ。

2 webサイトの運営

自分でwebサイト運営されてたんですか!
うん。自分の句とかをまとめてたんだけど、使ってたサービスが廃止になったんで今はデータは残ってないけどね。
それは知りませんでした。ブログみたいな感じですか?ご自分でコードを書かれていたんでしょうか?
その頃は今ほど環境が整ってないから、自分でコード書いてたよ。もともとは競馬のデータサイトだったんだ。
競馬ですか!予想サイトみたいな?
そうそう。趣味でだけどね。そのサイトに川柳も載っけてた。
ネットの川柳の走りですね。ネット上での柳人同士のコミュニケーションもあったのでしょうか?
サイトからメールを受け取ることはできたけど、コメント欄みたいな機能は一般的じゃない頃だから、サイトでの交流はそれほど盛んではなかったかなぁ。
情報発信がメインという感じでしょうか。
そうだね。それこそブログなんていう概念がない頃の話だから。後々ブログもやったけども。
ブログもされていたんですね。
サイトの方はデータは残ってないと思うけど、ブログはまだあるかもなぁ。当時は川柳の「論」と言えるものはネットにあまりなくて、ないなら自分でと、初心者なりにいろいろとがんばって書いていたと思うわ。
検索したら出てくると思うので、あとで探してみます。柳誌だとあとで探すのは大変ですが、ネットだと長く残って誰でもアクセスできるのがいいですね。
上記のブログURLhttps://ameblo.jp/zenro17/

3 Twitter

全郎さんはTwitterをされていますが、Twitterはいつからでしょうか?
Twitter自体は8年ほど前からだけど、川柳のつぶやきを始めたのは4年前からかな。俳句や短歌だと結構アカウントやハッシュタグがあるけど、川柳って全然ないじゃない?
確かに。少ないですよね。
今でもそうなんだから、当時は本当になくて。だから「#川柳」を増やしたくてね。ちょうど句集を出した頃だったから、句集や柳誌から句を持ってきてbot****でつぶやくようにしたんだ。
****自動で定期的にツイートする機能。
botに登録している句は何句くらいですか?
300くらいちゃうかな。最初は2時間に1句くらいの設定だったけど、今は1日2句に設定してる。
全郎さんがTwitterを始められた頃と今との違いってありますか?
前より反応が増えたよね。いいねとかリツイートとか。DMくれる人もいるし。
私がTwitterで川柳をつぶやき始めた頃から比べても川柳関係のアカウントやツイートが増えてきたと感じますからね。「#川柳」を増やしたいという地道な活動が実りつつあるのかもしれませんね。

4 妄読

全郎さんはまたご自分のwebサイトを開設したいという気持ちはないですか?
そうだなぁ・・・。長めの文章は書きたいなとは思っている。今「妄読」に走っててねぇ。
川柳スパイラルで「妄読 ノススメ」というタイトルで連載されてますよね。
そうそう。「句で作者が言いたかったことを考えましょう」みたいに言うてる人がいるけど、そんなんどうでもええねん。
思います!私もいつも言っているんですが、自句自解の公開は不要と思うんですよね。川柳は作者が言いたいことを当てるゲームじゃないんで。読みにおいては作者が言いたいことじゃなくて、句が示していることを意識しないと。
読者側はまさにそうで、作者側も言いたいことを伝えようという意識が強すぎると、わかりやすいだけの句になってしまうからね。わからんくてもいいし、わからんのが面白い。
そう思います。しかし依然として川柳界では「わからなさ」に対する拒否反応を感じます。
せやな。俺から言わしたら犯人が最初からわかってる推理小説みたいなもんで、「それっておもろい?」ってなってしまう。
わかりやすい例え(笑)
さっき話したけど、わからなさに対する拒否反応は自分自身あった。でも「わからなくていい」ことに気付いてからの世界はすごく楽しい。
答えを決める世界か、決められる世界か、って感じでしょうか。
国語のテストで「この時の作者の気持ちを答えなさい」って問題あったやろ。あれと一緒やわ。「知らんがな、作者に聞けや」っていう。
(笑)
テストに頑なに「知らんがな」って書いて、常にバツやったわ(笑)
点よりプライド(笑)
新聞の川柳欄なんかはわかりやすい、わかりやすすぎる句が多いから、それについてもブログで書いてた。そのデータは残っているはず。
前述の全郎さんのブログの右上あたりの検索機能で「なにわ柳壇」と検索すると記事が閲覧できます。
こんなんあかん、こんなんあかんばっかり書いてたな。ブログの記事を印刷して、「読んでください」言うて選者に直接渡したこともあったわ。
マジすか・・・。私は武闘派を自認してますけど、そこまではできません(汗)

5 ネットに期待すること

最後に今後川柳で「こうなったらいいな」と思うことをお教えください。
句じゃなくて、評を評価するような仕組みができたら面白そうだなぁと思う。
評を評価、ですか。
うん。互選で評も集めて、句じゃなくて評を比べる。
川柳だけではなくて俳句や短歌も互選で評をつけられるサイトやアプリはいくつかあるんですが、互選だとわかりやすい句が上位にくる傾向がありますね。
確かに句はわかりやすいのに票があるまるんだけど、「評」はわかりやすい句にはいい評は書きにくいから、評を評価する仕組みなら違った結果になると思っている。
なるほど。私のサイトで2年くらい前に「句評コンテスト」って企画を考えたことがあるんですが、何人かにご相談して時期尚早だと実施しなかったんですよね。評が集まらないだろうってことで。
俳句甲子園なんかはディベート形式で成功しているイベントだと思うんだけど、バトルが面白いんだよね。そういうイベント的要素もないと難しいかもしれない。
私のサイトでもいちごつみ川柳バトルでイベント性を高めた企画をやったりしていますが、今はまだいろいろ試す時期なのかもしれませんね。
せやね。他の分野で成功しているものを参考にしながらいろいろ試す中で川柳にあった形にしていけばいいと思う。ネットならいろいろ試しやすいしね。
私も川柳サイトの一運営として頑張りたいと思います。本日はありがとうございました。

まとめ

インタビューから公開まで3か月もかかってしまいました。申し訳ございません。このインタビューの後全郎さんには毎週web句会第150回で私との共選をお願いし、入選と没が分かれた句についての議論を配信しました。今後も継続的に全郎さんに何かの企画にご参加いただけたらと思っております。お楽しみに!

あ、あとインタビュー後の二次会でおじさん二人黙々といちごつみ川柳をやりましたのでリンクしときます。

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)