森山文切 のすべての投稿

毎週web句会第160回(2019/4/28-2019/5/4投句分)

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共選につき
天の句、その技と心

没のポイント3(おやつリスペクト)
は休載です。

65名126句 いわさき楊子選 入選35句







不仲説パイナップルに聞く酢豚 まさよし
イエローで描くひと日の左側 toron*
だれも触れなかったバナナの皮のこと 秘まんぢ
信じ方講座から始まる教義 袴田朱夏
天狗から褒められた耳鼻咽喉科 たにゆめ
肩紐はずれてぼんやりメロンパン 斉尾くにこ
夢枯れてかさこそ手のひらの広野 糸篠エリー
連休にこびとに宛てた文届く 西鎮
舐めとった埃の苦さ知ってるか 西鎮
給湯器もエレベーターも喋りすぎ 村上佳津代
淡々とタオルを畳む大富豪 えや実
水平な飛び蹴りが来る痴話喧嘩 ヨッシー
午後五時の音符をしまう通学路 芍薬
副賞は泣けない夜に貼るピエロ 尾崎良仁
月が綺麗きみの正義は負けたんだ 尾崎良仁
両肩に湯気立ちのぼる調律師 小俵鱚太
精液のにおいで起きる夜行バス 小俵鱚太
恋文はローテーブルを傷つける エノモトユミ
変容の真っ只中にあるこけし 笹川諒
敵国のデニムから色落ちするP 月波与生
半返しソヴィエトのある地図だった 月波与生
たまねぎと新たまねぎの小宇宙 有村桔梗
不機嫌な韃靼人は踊らない 朝野陽々
トラウマ社業務日誌に田螺の絵 川合大祐
補助輪と夜の向日葵いらっしゃい 水鳥
コンデンスミルクの罪を被る夜 あまの太郎
三角に折ったのにぼったくりバー いゆ蘭
佳5 インコンビニエンスストア開業です 甘酢あんかけ
佳4 職質を反芻したら甘かった 未補
佳3 砂時計ひっくり返す静かな手 水鳥
佳2 平静を装っている冷奴 尾渡はち
佳1 新元号めでたや御所のまくわうり はな
取調室の葡萄が美しい 杏野カヨ
葡萄は宗教で象徴として使われる。犯罪と取り合わせることで、美しくもある人間の仕方なさをおもう。
右利きへ推敲されるナイフの句 馬鈴
社会詠と断言することもできるが、そうは読まない方が詩としてのふくらみがある。
曼荼羅のポーズで朽ちる観覧車 toron*
曼荼羅と観覧車は似ている。絶対似ている。
森山文切選 入選33句







取調室の葡萄が美しい 杏野カヨ
谷川を流されていく白い布 雪上牡丹餅
美容室帰りと分かる天使の環 真島朱火
信じ方講座から始まる教義 袴田朱夏
はっそうとび蝿虎はシュミーズに のんびりあん
善悪をツイストしたらチョココロネ たにゆめ
天狗から褒められた耳鼻咽喉科 たにゆめ
肩紐はずれてぼんやりメロンパン 斉尾くにこ
ヘルニアの樹にゆっくりと成る葡萄 西沢葉火
夢枯れてかさこそ手のひらの広野 糸篠エリー
真後ろの笑いと脚が揺らすバス l996
給湯器もエレベーターも喋りすぎ 村上佳津代
ロボットの愛憎 瓦解する序列 福村まこと
虹ボタン押してすぐさま捨てる指 斎藤秀雄
はにかんだ表彰台のドブネズミ ペンギンおじさん
キャベジンを忘れずに飲む毒クラゲ ペンギンおじさん
雨降っただけで終わってしまう仲 小林祥司
地下鉄の窓に激突する魚 岩倉曰
半返しソヴィエトのある地図だった 月波与生
たまねぎと新たまねぎの小宇宙 有村桔梗
達磨にもアイライナーを引く配慮 がね
職質を反芻したら甘かった 未補
体当たり恋に押し潰されている 藤井智史
咥えれば指ではないと少女A いゆ蘭
殺せない火はあかあかと蚊の頭 秋鹿町
佳5 淡々とタオルを畳む大富豪 えや実
佳4 アイコンの動物たちと夜を待つ 芍薬
佳3 恋文はローテーブルを傷つける エノモトユミ
佳2 変容の真っ只中にあるこけし 笹川諒
佳1 藤棚の奥へ目当てのとんかつ屋 菊池洋勝
だれも触れなかったバナナの皮のこと 秘まんぢ
バナナの皮が報われない。
副賞は泣けない夜に貼るピエロ 尾崎良仁
貼っても笑えない。
三角に折ったのにぼったくりバー いゆ蘭
「三角に折った」という根拠の弱さ、漠然とした感じと、「ぼったくりバー」の怪しさ、生活圏からの距離にリンクがある。

毎週web句会第159回(2019/4/21-2019/4/27投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

57名109句 森山文切選 入選33句
野球拳強くて支店長になる あまの太郎
ちょっと前から欲しかった系の謎 笹川諒
仕組まれているよう「いいね!」ボタン押す ヨッシー
雨音が心地よくする待ち合わせ まるち
真っ青なキャンバスはみ出した小鳥 青砥たかこ
スーパーのビーフ英語で呼びかける 糸篠エリー
春先に出会う河童はドルを売る 浅井誠章
スコールが古い思い出燃やしきる 水鳥
声帯へきっちり並ぶプロポリス 千仗千紘
キャロライン洋子の真似が夜鳴きそば 月波与生
スペアキー作られほっとしてるドア 小林祥司
上着が忘れられているバネ遊具 l996
完了を押してから読むお品書き 芍薬
満ち足りず毒草育つワンルーム 来栖圭郁
絶叫を聞いて育ったミニトマト 尾渡はち
アイフォンに反りを合わせているシニア 村上佳津代
四五輪で開花四五度で恋になる 斉尾くにこ
ダイソーで追いかけているデカダンス 西鎮
ローファーに草のかけらをつけてゆく 有村桔梗
たぶん敵優雅に舞っていらっしゃる   尾崎良仁
これ以上カイワレになることはない 西沢葉火
連休にお尻のえくぼ探します 斎藤秀雄
Ctrl+Zに慣れて家を買う 若枝あらう
投げつけたシュークリームに蓋がない 千仗千紘
拭き取って捨て去る恋の落とし紙 藤井智史
佳5 味噌餡の分らぬ舌に柏餅 菊池洋勝
佳4 社員証かざし月には帰れない 平出奔
佳3 公園の爪先だっている菖蒲 岩根彰子
佳2 冒険の記録ですから詩ですから 笹川諒
佳1 夜更けまえ潮の香りがする神父 涅槃girl
じゃがいもの皮で作った秘密基地 ペンギンおじさん
なんの皮でもいいじゃないかという意見がありそうだが、じゃがいもの皮だからこそ生まれる秘密基地のイメージがある。
反時計回りに懺悔する林檎 toron*
なんとか皮が切れないように剥ける程度の実力か。皮剥きも世渡りも、上手ではなさそうだ。
まつり縫いする指にふる白い酒 エノモトユミ
まつり縫いと指はつきすぎのように思えるが、後半部分が既視感を消した。言外のイメージの膨らみが心地よい。

毎週web句会第158回(2019/4/14-2019/4/20投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

54名106句 森山文切選 入選32句
音量の足りぬテレビの時代劇 菊池洋勝
交響曲流れるキャバクラのトイレ いゆ蘭
一年中アイス切らさぬ冷蔵庫 村上佳津代
立ち止まり反省してる花筏 田原勝弘
毛筆が跳ねてやる気を書き留める 彦翁
二千円札が飾ってあるトイレ 青山祐己
ガガンボを呼んでこの春首位に立つ 笹川諒
親戚と相合傘でゆく箱根 御殿山みなみ
病院でおぼえた蜜を溶かす白湯 エノモトユミ
タコ焼けて声の大きい暗殺者 岩倉曰
看板にただ看板と書く仕事 たにゆめ
沙悟浄の皿の匂いの夢を売る あまの太郎
二つ折り財布が作る不等号 がね
ランキング外の地元の村八分 袴田朱夏
蝶の飛び立とうかと自己正当化 サトシワタナベ
点線に沿って正しく回し蹴り たにゆめ
自分史を問えばふるふる若緑 岩根彰子
寝姿を映してばかりいるテレビ 千仗千紘
機能性トイレに擬態する忍者 小俵鱚太
ロジカルに編み込んでいくろくろ首 水鳥
ご褒美へくるっと270° 斉尾くにこ
滴った海のミルクに思う森
イワンのおしゃぶりが覗く紀元前 月波与生
カステラにならぬ背中を送り出す 多舵洋
佳5 爪磨く姉の部屋から迷子臭 有無谷六次元
佳4 石を積み終える頃には夏ですか 尾崎良仁
佳3 創世記めでたしめでたしで終わる toron*
佳2 ゲシュタルト崩壊する麒麟の群れ toron*
佳1 爪の無い研修中のレジ係 西沢葉火
Uターン替え芯5Bだけにする 糸篠エリー
濃い。次に替え芯が必要となる時も同じ気持ちでいられるか。
革命を目指したころの腰タオル 福村まこと
下五と比べて上五が硬いという意見もありそうだが、その距離感もイメージのギャップも主張に効いている。
ない星を指差すと来る成長痛 斎藤秀雄
成長痛のイメージが見事に示されている。見えない星ではなく「ない星」。出てきそうで出てこない表現だ。

毎週web句会第157回(2019/4/7-2019/4/13投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

53名104句 森山文切選 入選32句
親戚が地下アイドルと同じ顔 ペンギンおじさん
初恋の味をGoogleに教える 若枝あらう
消防車行って帰ってまだ赤い 杏野カヨ
リサイクル店に去年のカレンダー 青山祐己
脱走の蟻を見てたとランドセル 澤井敏治
ヒトの世の終わり近いと鈴が鳴る 柊無扇
根っこを張っていく決心はついた 藤井智史
危機感を持ち続けてる凪の海 青砥たかこ
ががががと名前の付けれない時間 斉尾くにこ
石灯籠みたいで嫌な接続詞 笹川諒
ハンバーグどこかに握手会の熱 いゆ蘭
終わらせることのできないにらめっこ 夏鵜
敵を知り暖簾をくぐる闘牛士 秘まんぢ
ギブ&テイクの例としての花 まるち
うんこドリルの潔癖症の悩み まさよし
貝割れ菜咥えたひとがアウトロー toron*
観覧車眺めて揺れる風見鶏 えや実
遠足の怪我した友と同じ班 菊池洋勝
前輪と後輪の差の春うらら ナタカ
ぶよぶよの老人力に寄ってくる 武良銀茶
後任にもっと陰険なのが来る ヨッシー
ワイシャツをですます調で試着する 芍薬
覗いたら泣けない箱と知っている 尾崎良仁
色鉛筆うそをついては欠けてゆく 秋鹿町
佳5 洋梨のくびれにためらいが残る 若枝あらう
佳4 生存者ついに折られる金の紙 浅井誠章
佳3 熱帯魚弱らせて我儘になる 西鎮
佳2 選挙ポスターへ季節外れの雨 いゆ蘭
佳1 結晶ともうお友だちほんとうよ 来栖圭郁
宮殿に由緒正しい騙し舟 福村まこと
上五中七と「騙し」のイメージの対比が効いている。
歯が痛い入学式が終わらない 朝野陽々
「歯が痛い」と「入学式」の距離感が良い。卒業式の頃には白い歯になっているかどうか。
春風を知ってトランクスの惰眠 秋鹿町
「春風」と「惰眠」はつきすぎのようにも思えるが、「トランクス」との三角関係にしたことにより適切な距離が生じた。鈍感な「トランクス」に比して「わたし」の春は遠そうだ。

毎週web句会第156回(2019/3/31-2019/4/6投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

56名109句 森山文切選 入選32句
駆け巡る選挙カー逃げないカラス まるち
フリーザがこだわり抜いた丁寧語 近江瞬
壊されることを知らない貯金箱 青山祐己
素うどんが流れる渋谷交差点 浅井誠章
駅までがワンメーターの無人島 たにゆめ
腹の空く一食分の朝寝かな 菊池洋勝
気の抜けたビールにテンポ狂い出す 小林祥司
エゴサーチする指 きみに触れる指 朝野陽々
爺ちゃんが熊で婆ちゃんが狸で 平井美智子
フル装備して立ち向かう春の厄 アゲハ
紫のくちびる吸って見えた空 エノモトユミ
地球儀にいくつか嘘が書いてある 羽根
展示前学芸員の椅子沈む 袴田朱夏
換気扇からフェイクニュースが漏れる 糸篠エリー
親切な地図だ紅茶の染みがある 西沢葉火
恍惚の膝を一枚漬けておく
フィクションを嫌う閻魔の誤字脱字 秘まんぢ
多夫婚の位牌に残る片笑くぼ 福村まこと
ばかになる手前で嘘をソートする 芍薬
紙オムツ替える新元号を聞く ヨッシー
無呼吸の駐車券認証装置 岩倉曰
助動詞を拾ってビンゴしてしまう 斎藤秀雄
大げさに褒めたい布団乾燥機 小俵鱚太
傷口に群がる揚羽黒揚羽 toron*
佳5 談合にリズムを添えるジャズピアノ 中村佐貴
佳4 崖に咲く花で作った通知票 甘酢あんかけ
佳3 前奏で終わるひらめのラブソング 斎藤秀雄
佳2 紳士からブンガブンガへ誘われる 斉尾くにこ
佳1 レモンスカッシュを越えて春の肩紐 岩根彰子
開店のお知らせばかり載る雑誌 有村桔梗
事実を言い当てる系の句であるが、事実に気付いた「わたし」の気持ちが感じられる。
ふらんすにあげたいふかふかの帽子 笹川諒
言葉の響きが心地よい。ロシア帽か。おそろしあ。
生命と思えば干からびたパスタ 岩倉曰
もともとカラカラに乾いた「パスタ」に「生命」と「干からびた」を組み合わせたことで、乾く>潤う>干からびるというイメージの流れが生まれた。この流れは「生命」とリンクしており、言葉の選択の妙を感じさせる。