森山文切 のすべての投稿

毎週web句会第165回(2019/6/2-2019/6/8投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

55名108句 森山文切選 入選33句
入れ歯にはとても危険なあずきバー 村上佳津代
恋文の裏に貼られたベルマーク 涅槃girl
ぶかぶかのジーンズ部下のパンツは黄 霧島絢
平成の古新聞をごみに出す 彦翁
オカリナを吹く妻残し下山する
辻褄が合わなくなった定年後 麦乃
なんか薄い植物フリーマーケット
お茶のたび一度は納豆の話題 馬鈴
蒸したてのホヤに出会って甘い夜 平出奔
スペアキー謎の指紋が浮いている 澤井敏治
つやつやになるまで風に磨かれる 多舵洋
定食の小鉢に白和えの訛り 西沢葉火
説明は要らぬ頭に椿挿す 杏野カヨ
10数え上がっていいよ一人風呂 まさよし
プランターなくてTENGAにプチトマト 月波与生
教室の隅のザリガニ ケ・セラ・セラ ひかる
てにをはの居飛車振り飛車なか七に 石川聡
豪雨など知る由もない熱帯魚 水鳥
籐椅子を揺らして去って往く花火 岩根彰子
馬引いて帰り近所に愛される ヨッシー
赤黒く血の跡残すチェスの駒 み浦よし彦
真相が散りばめられた肉うどん ペンギンおじさん
投げ捨てたカフスボタンは夜行性 エノモトユミ
カップヌードルの底にも海老の意地 あまの太郎
宝石の国から棘のひとつきり
佳5 猫耳のそうでした嘘泣きでした いゆ蘭
佳4 天敵の訃報を聞いたセルフレジ 颯爽
佳3 シイタケがいいひとぽいと言ったんだ 斉尾くにこ
佳2 跳び箱のなかから徐々に暮れてゆく 斎藤秀雄
佳1 ささくれを見つめてゴールデンタイム toron*
黒板の文字化け体育が近い いゆ蘭
字がきったない先生、いましたいました。
血液は蒸発モザイクの真裏 真島久美子
編集も蒸発しました。
最後まで歯向ってくる青い鳥 ペンギンおじさん
幸せになるのも大変である。

毎週web句会第164回(2019/5/26-2019/6/1投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

58名112句 森山文切選 入選33句
分校のミントぐらいの文化祭 斎藤秀雄
☆1のレビューに学ぶ怒り方 岩倉曰
過去からの呼び出しかかる黒電話 さこ
トリセツの無視が吹かせた隙間風 小林祥司
猫たちの辞書に書かれてない魚 笹川諒
各々の陣地で直角に眠る 馬鈴
君の目を逸らさず見てる後頭部 まさよし
犬笛を船首に飾る屋形船 涅槃girl
とりあえず生と頼めばアナコンダ
番傘に隠れた青いキャミソール エノモトユミ
なわとびに向かない方の赤い糸 えや実
切っ掛けが欲しくて作るライスカレー 岩根彰子
パン屋から出てきた月の粉まみれ 西沢葉火
矢印が多くてぎこちない歩幅 糸篠エリー
ブレーキをかけずに済んだ風車 若枝あらう
トナカイのいたみ知ってる青い花
「そういうものになりたいと」と書く手帳 月波与生
性癖を徐々に明かしてゆく河童 芍薬
脊髄に帰ろうとする風見鶏 み浦よし彦
分別はあるとおもうわアマリリス よーこ
織姫のやる気をなくす貸衣装 水鳥
プリキュアの切手をなめて甘酸っぱい 秘まんぢ
重役に巻きついているところてん 未補
バスを待つあいだのパンを選べない 麦乃
冷し瓜おもちゃのような雨が降る 坂中茱萸
佳5 ひったかは燃える ワタシの恋消える 藤井智史
佳4 モチーフとして元彼を取っておく 芍薬
佳3 既読スルーゴジラの背びれ明るくて あまの太郎
佳2 カーテンが巻き込むヤドカリの眠気 西沢葉火
佳1 腸壁のピンク冤罪訴える 福村まこと
噴水のあるホテルから磯釣り師 小俵鱚太
「噴水」と「磯釣り師」の距離感が絶妙。「噴水のあるホテル」で「磯釣り師」とのギャップも強調されている。
唇を舐めてから渋谷に降りる
マッチングアプリが流行っているらしいです。
どこまでも手のひらの有刺鉄線 toron*
「手のひら」は柔らかく優しいイメージで用いられることが多いが、その優しさは時に残酷である。イメージの逆転が効いた。

毎週web句会第163回(2019/5/19-2019/5/25投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

58名110句 森山文切選 入選33句
無調整豆乳とだけあるLINE 鴨居
泡立ちの良い石鹸は信じない ヨッシー
緋の月のしたたるように胸の薔薇
退屈がアジの開きに伝播する がね
にゅう麺で豆腐を縛るような嘘 袴田朱夏
クーポンで日サロに通う吸血鬼
パワハラがUターンするかずら橋 木根川八郎
ドーナツの穴から落ちていく評価 雪上牡丹餅
下駄箱にアイスをしまう修行僧 青山祐己
濡れすぎた靴で一蹴り水たまり はんたろう
適齢期過ぎたタニシの独り言 あまの太郎
置き去りにされても走る白い靴 秋鹿町
透明になって蛍を呼んでいる 真島久美子
私だけ記憶の中にナタデココ 夏鵜
当たりピノ集めて繋ぐオリオン座 尾崎飛鳥
空っぽの枝豆である君の服 甘酢あんかけ
モスキート音が今日は聞こえる給料日 アゲハ
ちょっとしたパーティー用に買うパセリ 未補
踊るのに飽きた黒子のコップ酒 彦翁
恋すれば一対一の生魚 杏野カヨ
老い二人精彩を欠く冷蔵庫 村上佳津代
実家から出たがっている袋とじ 浅井誠章
薄闇をかぶって白いオオカミと 斉尾くにこ
力点が緩くて恋になってゆく 真島久美子
思春期のドア闇雲に静電気 糸篠エリー
佳5 前髪を切ってあなたに溺れまい 水谷裕子
佳4 蝶々結びのどこまでを済ませたか いゆ蘭
佳3 ツーブロックに刈って恋せよハリネズミ もーやん
佳2 デイケアの利用者揃う夏祓 菊池洋勝
佳1 煙突の錆が上書きするロマン 西鎮
耳たぶを揉まれて昨日から猫背 斎藤秀雄
ゼッタイ昨日からじゃないヨネ。
三度目のお手で水かき消えた犬 芍薬
「犬」に成り下がったのか、望んでいた飼い主にようやく巡り合えたのか。「犬」のみぞ知る。
ベッドサイド打ち上げられた耳光る 秘まんぢ
上五は「枕元」に置き換えられると思う人もおられるかもしれないが、「枕元」では耳は打ち上げられないし、光らない。「ベッドサイド」だから、打ち上げられ、光る。ベイサイドのホテル、ベッドからの夜景、妖しく光る「あなた」の耳、そんなドラマを感じさせる句である。

毎週web句会第162回(2019/5/12-2019/5/18投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

58名112句 森山文切選 入選34句
アヒージョがミドルネームの研修医 ペンギンおじさん
足掛け二年マンボウが口開くまで 斉尾くにこ
五月では妹子のヒゲが青すぎる 浅井誠章
元カノに似てるユーチューバー やだな 尾崎飛鳥
ぼくの涙は飲用に適さない 朝野陽々
脱皮した気持ちで試着室を出る 彦翁
ヌーディストビーチに惑う原始人 涅槃girl
ローファーの中に真っ赤なスニーカー 鴨居
正論を崩して沖へ逃げる波 糸篠エリー
弁当にしか入らないミニトマト 真島朱火
再会の街と名付けた夜の膳 水谷裕子
引力をバカにしている洗濯機 青山祐己
令和と言われ爺婆なったような気に 田原勝弘
ノイズキャンセリングされる呼吸音 馬鈴
幻覚の囁き無声映画館 福村まこと
ひと部屋に五月生まれの猫と人 有村桔梗
ヨーロッパ/アメリカ風のドライヤー 平出奔
珈琲に参加の可否を決められる 芍薬
根刮ぎにせんよ曇天草むしり 岩根彰子
自称だがフィリップ・マーロウ的微罪 月波与生
ついらくの途中で探すはやぶさ2 よーこ
望郷のスマホケースに非常口 toron*
バリスタが何等星か考える 芍薬
回すのを諦めたペン先に蝶 岩倉曰
養殖の半濁音でひと儲け たにゆめ
当たり屋のポケットに棲むカンガルー 西沢葉火
佳5 火曜日を休んだとたん脱ぐあなた 秘まんぢ
佳4 ブルーシートの中の宇宙は真っ赤 尾崎良仁
佳3 諦めてからが白菜より強い 笹川諒
佳2 骨の浮く肩を見つめるビアホール エノモトユミ
佳1 たまご産む自動販売機のコロン 斉尾くにこ
パレードの空にも波は映らない 袴田朱夏
「わたし」の心にも波は映っていないだろう。
知らないおじさんを母国語で叱る いゆ蘭
「母」と「叱る」の文字列により想起されるイメージが句に好影響を与えている。
肋骨に雨肋骨にあめんぼう 斎藤秀雄
全く同じ七音の繰り返しが非常にテクニカルで、句に深みをもたらしている。

毎週web句会第161回(2019/5/5-2019/5/11投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

54名104句 森山文切選 入選32句
歌姫に何か押しつけ生きてきた 柊無扇
メルカリに「臍」と書かれた紙 二円 有無谷六次元
手を洗い紙を巻き取る愚者の顔 狐ß
左向き崩さず進み焼き魚 尾渡はち
豆飯の残りを包むアルミ箔 菊池洋勝
罪人の夢に出てくる曼珠沙華 水鳥
誕生日また健康の新企画 井上雅代
ブラックホールよどうか私を抱き締めて 澤井敏治
花林檎ゆうべの罪をまっぷたつ 杏野カヨ
口ずさむTo the moonがきみだった 平出奔
カップ麺が山と積まれていて希望 秘まんぢ
独立の宣言をするパンの耳 藤井智史
元カノがタイムラインに咲かす花 あまの太郎
再入荷しましたあなたのそれから 斉尾くにこ
重馬場で泣き出している王様よ 西鎮
幸せな記憶野いちご食べた指 村上佳津代
傘よりも人が少ない牛丼屋 がね
母の日のすずらんに風きてとまる 斎藤秀雄
金網に結束されているバンド よーこ
こめかみをこっくりと打つ鳩時計 ひかる
波際で素数をナンパする水母 福村まこと
番号を書き足して火を靴で消す l996
夏みかん手にした順に露出狂 芍薬
青虫を侍らせている聖五月 岩根彰子
佳5 暴れだす染色体の生真面目さ エノモトユミ
佳4 Wi-Fiが切れて小指が軽くなる 多舵洋
佳3 ハンカチを三枚持って初競馬 笹川諒
佳2 のりたまをかけると方言に戻る 月波与生
佳1 モグラとクジラ屈託のない口喧嘩 斉尾くにこ
幸の字の穴を知らない少年期 いゆ蘭
あの頃はウブだった。
空想の寿司レーンには烏賊がない 小俵鱚太
まあイイカ。
ざらついた入場券の未成年 西沢葉火
ピン札のようにきれいではなく、丸められた紙のようにぐしゃぐしゃでもない。「ざらついた」は未成年とぴったり。入場後もざらついたままでいてほしい。