座談会:川柳とインターネット3

「川柳とインターネット」というテーマで、現代川柳ゆうゆう夢工房代表大西俊和氏と、運営スタッフの坪井篤子氏、野原萌氏にお話を伺いました。

日付:平成28年9月9日
場所:三府鮨 JR茨木東口店

大西俊和
現代川柳ゆうゆう夢工房代表
ホームページ

坪井篤子
現代川柳ゆうゆう夢工房
運営スタッフ

野原萌
現代川柳ゆうゆう夢工房
運営スタッフ

聞き手:森山文切
川柳塔おきなわ準備室管理人

1 現在のゆうゆう夢工房に至る経緯

本日はWEB句会を運営されているゆうゆう夢工房(以下、夢工房)の皆様にお話を伺います。まずWEB句会を始められたきっかけをお教えください。
WEB句会始めたのって2008年くらいでしたっけ?
そうですね。最初1年くらいは今とは別のサイトだったんですよ。
そうなんですね。今は息子さんが夢工房を管理されていると伺っていますが、最初から息子さんが管理されていいたのですか?
最初は私が自分で管理してたんですよ。今はWEB句会の互選の星取表は自動でできるけど、最初の頃は私が手作業で集計していたから大変だったんです。
その前からネットを利用した句会は行われていたわよね。COCONとか猫公園とか。
COCONの方が先ですね。仙台の高橋繭子さんが立ち上げられたんです。立ち上げの1年くらい前に繭子さんとお会いして、「こんなのできたらいいね」と話したのがきっかけでした。
全国からいろんな方が参加しておられてね。電脳句会と呼んでいたけど、ネットの句会は年4回くらいでした。今はネット句会はしていないですね。
猫公園というのはどういった形態だったのでしょう?
猫公園は私が立ち上げたもので、メールだけで行っていました。メーリングリストを利用したものですね。
当番制でしたね。当番の人にメールで投句して、互選だったんですけど、選も発表もメールで。最初は5、6人ほどでしたけど、参加者の紹介で徐々に人が増えていったという感じです。
萌さんはCOCONや猫公園には参加されてなかったんですか?
私は当時ネットをしていなくてね。俊和さんから誘われたんだけど、超アナログ人間だからメールとかわからなくて。
猫公園句会は毎月やっていました。10年くらいは続けたんと違うかな。
今は句会はしていないんだけど、メーリングリストはそのまま使われています。
では夢工房はどういった流れでスタートされたんでしょうか?
川柳大学*が2007年になくなって、いくつかに分かれてしまったんですよね。それで何とか集まる場所を作れないかということで1年後くらいに夢工房を立ち上げました。
 注釈 *時実新子氏が1996年に設立した句会。ホームページはこちら
俊和さんがせっかく集まる場所を作ってくれはったんで、私も始めなきゃ~ゆうてネットを始めたんです。

2 互選によるWEB句会

今は互選ですけど、過去の結果をみると夢工房のWEB句会は最初の頃は選者制ですよね?
そうですね。最初の頃は川柳大学で活躍されていた方にお願いしてました。川柳大学以外からもお願いしてたかな。
1題は選者による選で、もう1題は互選でした。
両方されてたんですね。
そうです。でもパソコンができる方となると選者は結構限られてくるし、ある時互選だけにしようということになって今の雑詠とイメージ吟の形になったんです。
それは何年前くらいのことでしょう?
5年前くらいからと違うかな。
互選は現在はひとり3句まで選べますが、初めから3句だったんでしょうか?
初めからです。投句は2句まで、選は3句まででずっとやっています。
(管理人補足:毎月の投句は60名程度で約120句)
選は3句までと決められた理由は何でしょうか?
深い理由はないですけどね。1句だと結果発表の星が少なくなって見栄えが悪いし、5句だと逆に多すぎて見にくくなるので3句くらいがいいかなと。
3句だと結果がばらつくかなとも思うんだけど、月によっては星が集中することもあって、ばらついたり集中したり変化があるのでちょうどいいと思います。
各投句者が、互選で選んだ句1句1句にコメントをつけるというスタイルはWEB句会では特徴的だと思いますが、これについてはどうでしょう?
いいシステムでしょう(笑)。選をする方にとっても、他の方が選んだ句のコメントを読むのも勉強になるし。
「こんな見方があったんだ〜」と気付かされるコメントが多いですものね。
コメントも当初からですか?
コメントも当初からですね。猫公園の頃から選んだ句にはコメントをつけるようにしていて、夢工房ではそれを自動化しただけですね。集句、選、集計、発表まで全て自動化しているからこそできることで、手作業でこの形式は難しいでしょう。
最初の頃選者があった時はやっぱり当て込みみたいな句もあったけど、互選になったらなくなりましたね。「えっ、どうしてこれが」という句が上位になることもあるけど。
でもそれが互選の面白さかもね。
互選は選の句数が多くなると一般化される傾向がありますが、夢工房は3句なのでその点は心配ないですね。でも一参加者としては5句くらい選びたいと思うこともあります。
ありますねぇ!
私は最初に5句くらい選ぶんだけど、そこから3句に絞るのは大変なのよね。みんな選べたらなぁというのはあるわ。
本当にそうです。でもその絞っていく過程が大切だと思っています。
あとやっぱり選んだ句へのコメントね。3句選んでそれぞれにコメントを書くのだけど、書いているうちに改めて「ああ、ええ句やわ〜」って思うことがあるのよね。
コメントを書くとなると必然的に何度も鑑賞することになりますからね。
コメントにも個性が出ますねぇ。短い人はスッと書かはるし、すごく長く書く人もあるし。私は長い方かな。気持ちが入ってしまうのよね。
僕は最初の頃はコメントは書けなかったですね。最初の数ヶ月は選だけしてコメントは書いていませんでした。
えっ、そうなの?なんで?
書き方がわからなくて・・・。でもコメントが必須ではなくて、いろいろな参加の方法があるのはありがたかったです。
そういう形でもいいですよ。近所の立ち飲み屋みたいに、ぶらりと寄って好きなように参加してもらうのが夢工房ですから、自由な形で参加いただけたらいいと思っています。
今は短いですがコメントは書いてます。やっぱり書いた方が自分の勉強になりますから。
セルフサービスの飲み屋ですから、好きなようになってもらったらいいんです。

3 ユーザー参加型

先ほど自動化の話がありましたが、投句と選が自動で管理されていて、運営側が手動で行わないといけないことがほとんどないですよね。この仕組みはすごいと思います。
毎月のweb句会は雑詠とイメージ吟で実施していますが、こちらがやるのはイメージ吟の写真をアップするくらいであとはほぼ自動ですね。
私のところはデータベースで管理しているので作業量は多くないですが、現状管理者にメールが来て手作業でコピペしているWEB句会も多いようです。労力の問題もありますが、人の手が入るとミスも多くなるので・・・。
そうそう。とことん句会**はまさに私が手作業で管理してますけど、ご存知のようにミスが多くてねぇ。ごめんなさいね。
注釈 **ゆうゆう夢工房内の掲示板で行われる句評がメインの句会。参加者は毎月末までに1句提出し、月初めに一覧が作者を伏せて公開される。参加者は10日頃までに全句にコメント、その後20日頃まで参加者が気になる句を自由に議論し、20日頃に作者発表。閲覧にはユーザー登録が必要。
いえいえ。いつも勉強させていただいています。夢工房ではとことん句会やなんでも掲示板***などユーザー参加型の企画が多いですが、これも当初からあったのでしょうか?
注釈 ***「前の人の句を受けて返句」をリレー形式で行う掲示板。閲覧にはユーザー登録が必要。
いえ、最初からではないですね。「こんなのがあってもいい」というの思いついた時に増やしていったんです。
いろんな形でユーザーの参加を促されていて素晴らしいと思いますが、定期的に会議などされているのでしょうか?
ないない。篤子さんにおまかせ。
もうね、大変(笑)。こうしてああしてとある程度指示があった方がいいこともあるでしょう?全然ないもの。
いつもありがとうございます(笑)。
ほんとに。パソコンも詳しくないから大変なのよ。
私もスタッフに入れてもらっているけど、パソコンなんか夢工房のために始めたくらいで全然わからない。コメントもしなきゃなと思っててもなかなかできないし・・・。
コメントはしなきゃいけないというものではないけどね。
確かにそうなんやけど、スタッフだから盛り上げなきゃというのもあるし。でもコメントは難しいわぁ。いいことばかり書いてても「馴れ合い」みたいに言われるし、厳しいことを書いたら「もう来ません」みたいに言われるし、ほんと難しい。
そういうのもあって、とことん句会を始めたのよね。厳しい意見も言えるように。
最初は匿名で議論する期間はなかったんでしたっけ?
いえ、開始当初から今と同じで、まず匿名で意見を言い合って、その後作者発表という形です。
やっぱり名前がわかると意見が言いにくいというのはあるからねえ。
意見を促すのには非常にユニークなシステムだと思います。

4 夢工房の今後

最後に夢工房の今後についてどのような展望をお持ちかお教えください。
まあ、今のままですね。これから発展させようという気は全然ない(笑)。
でも私は今のままだったら衰退していくような気がする。
衰退していいんです。いつやめてもいいと思っているくらい。
えーっ!そうなんですか。
私はもっとユーザーに参加してほしいと思ってるんです。でも俊和さんに今のままでいい、いつやめてもいい言われたらショックやわ。
いやいや、今のままで続けばもちろんそれはそれでいいですよ。でも廃れてしまったらそれでもいい。ふらっと寄れる立ち飲み屋ですから、ふらっとなくなってもいい(笑)。現状の仕組みを変える気はあまりないけど、文切さんは「夢工房のここを変えたらいいのでは」というのはある?
私は自分のサイトでやろうと思っているんですけど、とことん句会のような議論をリアルタイムでできるチャットがあるといいなと思います。あとは視聴者がコメントできる形のライブ動画配信ですね。とにかくリアルタイムで議論できる仕組みを取り入れたいです。
川柳のサイトではまだそういうのはないでしょうね。
とことん句会もそうだけど、ネットの議論はどうしても褒め合いみたいになってしまうのよね。この点はなんとかならないかしら?
批判的な意見を書くと、それに対して責任が出てくるでしょう?突っ込まれたら答えないといけないけど、答えるためにはさらに厳しいことを書かないといけない場合もあって、書きにくいのよね。手紙と違って不特定多数の人の目に触れるからなおさら責任が大きくなる。
そうなのよね。だから無難なコメントしかなくなる。
私はネットでの議論は、ブレインストーミングのように、とにかく意見を出す、出てきた意見に対して批評はしないという前提で行うのがいいかなと思います。
なるほどね。
おっしゃるように掲示板の議論では伝えきれないので、最初から批判しない前提でどんどん意見を出してもらった方がネットにあっていると思っています。
確かにその方がユーザーは参加はしやすいかもしれないですね。
悪い部分を指摘し合うのであればやはり会っての議論でないと難しいかなと。
そうですね。会うって大切だと思うわ。私なんか句だけ見たら怖い人と思われてるもの。
どうですか、文切さん?
・・・
ちょっと(怒)
いやいや、私は夢工房に参加してかなり早い段階でお会いしてましたので(汗)。1度でも会うというのは大事だと思います。私たちお会いするのは2度目ですけど、そんな感じしないですもん。
ほんとにそうですね。次回の交流会****は是非参加してください。
注釈 ****いわゆるオフ会。ゆうゆう夢工房では毎年1回開催されています。
そのうち沖縄も行きますから。
ぜひぜひ。本日はお時間をいただきありがとうございました。

まとめ

夢工房ではWEB句会(互選)での選んだ句へのコメントや、とことん句会をはじめとした様々なニーズに対応した掲示板など、参加型の取り組みを行われており一管理人として大変勉強になりました。どのWEB句会でも投句して結果を見るだけでも勉強になりますが、コメントを投稿できる機能は何かしらあると思いますので疑問に思ったことはどんどん質問して、より深く参加することが上達の近道だと改めて感じました。

次回は鳥取県鳥取市鹿野町の川柳への取り組みをご紹介する予定です。お楽しみに!

「座談会:川柳とインターネット3」への5件のフィードバック

  1. ネットで検索したらダウンロードできるのが分かりました(*^_^*)

  2. 夢工房の皆様のお話聞かせていただきありがとうございました。
    最後に次回鹿野町の川柳への取り組みを紹介ということ期待しています。
    実は昨日親戚の子ども小学生ですが川柳に関心があることがわかりました。
    ちょうど川柳塔11月号に「鹿野町ジュニア川柳募集」が掲載されていたので
    応募するようにそこを切り取って渡しました。応募用紙は鹿野町へ連絡すれば送ってくれるのでしょうか?

  3. おひとり、おひとりの写真と向き合いながら、楽しく読ませていただきました。
    四人のお顔が今夜の夢に出てきそうです。
    いま、猫公園のベンチに座って夕陽を眺めています。
    文切さん「ゆうゆう夢工房」をご紹介くださいまして、ありがとうございました。
    ますますのご活躍をお祈りいたします。

    1. 田村ひろ子さま

      コメントありがとうございます。
      夢工房でお世話になっております。
      今後もよろしくお願いいたします。

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)