琉球新報川柳

琉球新報川柳欄掲載句を、琉球新報社の許諾を得て公開しています。転載禁止。管理人の状況により公開が遅れることがあります。あらかじめご了承ください。
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選者:大田かつら(前沖縄県川柳協会会長)

投句規定:随時受け付け。未発表作品に限る。はがきに自由吟3句以内。住所、氏名(雅号の場合は本名も)、電話番号を明記。毎週火曜日に掲載(火曜休刊は水曜)。添削する事がある。
〒900−8525 那覇市天久905 琉球新報編集局文化部 「新報川柳」係
(管理人補足:掲載は投稿から1ヶ月〜2ヶ月後です)

平成29年9月19日掲載分

天賞
ライバルは昨日の俺と見得を切る 那覇 前川真
地賞
定年後晩酌までが長すぎる 読谷 島尻卓
人賞
留守電はため息までもくりかえす 恩納 伊芸元一
奨励賞
笑いヨガ笑えなくてもワッハッハ 那覇 禱モモト
佳作
年齢は個人機密と書きました 豊見城 松川雄峰
乾杯の音頭長くて場が白け 那覇 なかそね一
前を向き本音はそっとかきまぜる 宜野湾 下地節子
掃除機でルンバ踊って床磨き 南風原 宮城睦子
定年後掃除で嫁の機嫌とり 那覇 屋良朝淳
主人には愚痴言うまいと愚痴を言い 与那原 平田トミ子
女子会は夫批判でウサばらし 那覇 真喜屋明
約束をメモしたことも忘れてる 那覇 垣花弘美
清水の舞台にも似たジャンプ台 北中城 稲福呑雲
何もない廊下でころぶ年になり 那覇 下里照一
悪妻にてこずりボケるひまもない 南風原 糸数永教


天賞前川さん:定年後は自分自身がライバルということですね。あり余る時は惰性になりがちですからね。
地賞島尻さん:状況が浮かぶようです。五時から男の方がまだ良かったのでしょうかね。
人賞伊芸さん:楽しい作品でつい頬が緩みました。見つけ所が良いですね。

平成29年9月12日掲載分

天賞
どの列にいても美人は美人 那覇 池村幸夫
地賞
レストラン高級すぎて落ち着かぬ 那覇 渡嘉敷唯正
人賞
断れぬ内気が無理を抱え込む 沼津 木俣邦捷
奨励賞
人を褒め自分を褒めて盛り上がる 豊見城 和田幸子
佳作
同病と知って慰め支えあう 那覇 友寄英雄
年重ね遠き古里なつかしむ 沖縄 松岡隆
手をつなぎ心つないでフルムーン 那覇 上原とよ子
ちらちらと美人見ているサングラス 北中城 佐久本盛名
医者よりも看護士目当てだと言えぬ 那覇 村吉政常
気分では走っています朝帰り 北中城 高松呑海
風呂あがりママにとびつく裸の児 北中城 比嘉若松
老いてなお腰は立たぬが口は立つ 那覇 宮良毅
カラオケに腹式呼吸試される 糸満 玉城堅義
藍と宇良結果負けても大ニュース 豊見城 垣花幸雄
好き嫌いはっきりわかる座る席 知名 轟博美


天賞池村さん:そうですよね。イケメンも同じということですかね。
地賞渡嘉敷さん:特に戦中派の方は、そのようにおっしゃいますね。現代は真逆ですね。下五「落ち着かぬ」が効いています。
奨励賞和田さん:加齢と共に褒められるのが少ないなら、自分も人も褒めるしかない。

平成29年9月5日掲載分

天賞
ヒバクシャを見捨て政府は核の傘 那覇 後盛秀行
地賞
器から溢れてしまう父母の愛 八重瀬 森山文切
人賞
堂々と今日は模合と飲みに出る 読谷 島尻卓
奨励賞
巫女さんは何処の学校出たかしら うるま 比嘉春栄
佳作
和太鼓が背筋に活を入れてくる 宜野湾 高橋けい子
火ぬ神に拝む娘は祖母ゆずり 那覇 屋良朝淳
伝言をよどみなく書き愚痴になり 沖縄 桑江彩雲
深夜まで堂々と飛ぶオスプレイ 宜野湾 小浜廉市
心配はするなと言って世話をさせ 読谷 高良秀光
夏バテへ早く来い来い秋と冬 豊見城 松川雄峰
この頃の夢は女性が出てこない 浦添 上原盛徹
定年後妻の下僕で恩返し 北中城 伊達政仁
無理しても笑顔を見せる初対面 東京 大矢和子
政治家も恋におぼれて職失くす 豊見城 下地順子
妻は留守見つめる写真原節子 糸満 金城幸鷹


天賞後盛さん:広島、長崎の被爆者へ寄り添い、心の叫びを十七音字に込めた作者。「平和とは」を、今一度考えたいものです。
地賞森山さん:「父母の愛とは」、自分が親になってはじめて、心にしみるものではないでしょうか。
奨励賞比嘉さん:つい見逃しそうなことをさらりと句に仕立てるのが上手いですね。

平成29年8月29日掲載分

天賞
シャレタ靴外反母趾がはいている 那覇 禱モモト
地賞
大臣の給与聴くたび腹煮える 那覇 池村幸夫
人賞
苦と楽は生きる証の句読点 那覇 渡嘉敷唯正
奨励賞
秋風が人恋しげに頬なでる 宜野湾 崎山敏子
佳作
同郷のなまりが垣根取り除く 北中城 高松呑海
買うまいと決めてまた買う宝くじ 那覇 山城東雄
棘のある言葉ひとつで命取り 那覇 後盛秀行
あの人の心の扉サビている 北中城 小松呑水
メモにないバーゲン品に手が伸びる 糸満 金城幸鷹
何事もない一日が宝物 沖縄 垣花鷹志
半額の文字に反応すぐ出かけ 那覇 田場ヨシ子
若者は力余ってすぐジャンプ 北中城 佐久本盛明
格差より段差が怖い齢となり 豊見城 松川雄峰
ジャンプ買い息子と同じ愛読書 大島郡 轟博美
鳴り響く指笛につい踊る覇者 国頭 大嶺進一


天賞禱さん:川柳の三要素である「穿ち」つまり人情の機微などを巧みに指摘することです。それを上手く捉え句に仕立てられました。お見事です。図書館等で川柳の本を求めて、各自で勉強される事を、お勧めします。頑張ってください。

平成29年8月22日掲載分

天賞
客層に流れの変わる年金日 沼津 木俣邦捷
地賞
ユーモアが重い空気を吹き飛ばす 読谷 島尻卓
人賞
産声の時刻を決めるお月様 糸満 山城のぶう
奨励賞
島言葉ヌメーカメーに湧く笑い 今帰仁 玉城真光
佳作
大雨で畑のスイカプッカプカ 読谷 新垣喜邦
ルンルンの嫁へ小姑軽いジャブ 宜野湾 崎山とし子
裏の裏読んでもいつも嫁が勝つ 那覇 屋良朝淳
サークルに個性豊かな顔が寄り 那覇 上原とよ子
飼い主と肥満が並びウォーキング 浦添 上原盛徹
露天風呂二泊三日のバケーション 読谷 高良秀光
筋トレは我が家の掃除金いらず 宜野湾 嘉数さくら
長生きし年金上がる時を待つ うるま 比嘉春栄
勝つ味を忘れたのかな巨人軍 宜野湾 宮本正
暑いねが一日中を独り占め 浦添 高江州正仁
健康もサプリメントで金かかり 糸満 大城正雄


天賞木俣さん:やはり誰でも財布の中身によって買い物も変わるという事ですよね。できそうでなかなか出来ない作品です。
地賞島尻さん:そうですね。ユーモアを連発する人の回りは明るいオーラに包まれて笑が絶えません。「笑う門には福来たる」ですね。

平成29年8月15日掲載分

天賞
人類の進歩をヒアリ嗤ってる 与那原 宮島玲子
地賞
足腰は弱っていくが口達者 糸満 伊佐真行
人賞
今ぞ知る水の怖さと有難さ 那覇 渡嘉敷唯正
奨励賞
せめてもの心豊かに小風呂敷 読谷 比嘉ケイ
佳作
炎天下乾かぬ涙終戦日 今帰仁 玉城真光
八月の風は哀しみ乗せてくる 豊見城 和田幸子
月もまた領土紛争始まるか 北中城 稲福呑雲
選挙カーうぐいすならぬセミと化し 那覇 仲田恵司
高齢期新たに見える世界あり 沖縄 安慶名昇
ダイエット済んだ祝いにグルメ食べ 沖縄 垣花鷹志
孫のため節約すれば娘が浪費 沖縄 與儀広子
障害者手帳でそっとバス降りる 本部 永井えいこ
よく耐えた自分をほめて卒寿超え 宮古島 安谷屋郁
五百円周り見ながら足でふむ 那覇 下里照一
雨降って散歩もせずにホッとする 与那原 与那嶺貞男


天賞宮島さん:ニュースを一瞬とらえ見事に句に仕立てられ佳句となりました。奥の深い作品、読者の感性に委ねましょう。
地賞伊佐さん:一読明快で音読すると、リズムも心地良い事が分かり、初心者へのお手本にしたい作品です。五七五の定型と音字数の数え方は川柳の最低限の基本です。

平成29年8月8日掲載分

天賞
オレオレに仏心を盗まれる 糸満 山城のぶう
地賞
親の癖子が真似すると叱られる 浦添 上原盛徹
人賞
軍人と医者と坊主は暇がいい 読谷 島尻卓
奨励賞
花と蝶その色どりに癒される 糸満 名嘉真静子
佳作
年齢(とし)重ね鈍感力で喜寿を行く 那覇 友寄英雄
国個人共に難題土地争議 北中城 宮城好博
病院のロビー田舎の喫茶店 那覇 村吉政常
自分にはつい甘くなる怠け癖 那覇 上原とよ子
父の日が教える京の流行り柄 糸満 金城幸鷹
幸せのむこうに見える影法師 読谷 新垣喜邦
アシティビチ大を取ったら骨だらけ 北中城 比嘉若松
国会の本音出す人隠す人 那覇 屋良朝淳
一気飲み昔牛乳今ビール 北中城 玉城若子
飲み仲間でっかい夢へ泡も飛び うるま 比嘉春栄
老介護掃除洗濯腕自慢 那覇 なかそね一


天賞山城さん:オレオレ詐欺被害に遭われる方は、仏心を持つお年寄りばかりが目につきますよね。下五「盗まれる」が効いています。
地賞上原さん:ほんに、ほんに言い得て妙です。
奨励賞名嘉真さん:庭を眺めて癒されている主婦たちの姿さえ浮かびます。

平成29年8月1日掲載分

天賞
心理学極めたはずがユタ通い 南風原 宮城睦子
地賞
サラサラもドロドロも吸う蚊も必死 那覇 後盛秀行
人賞
変身の後に感じる自己嫌悪 南風原 森山文切
奨励賞
御先祖様家系図絶やしすみません 沖縄 新垣邦博
佳作
となりから野菜が塀をハイジャンプ 北中城 高松呑海
北の国暗雲となり押し寄せる 宜野湾 高橋けい子
老いてなお高みを目指しジャンプする 北中城 小松呑水
人形に本音吐かせる腹話術 東京 宮里和子
手を振ればウグイス嬢の声はずむ 那覇 山内昌一
基地の町騒音続き気も狂う 沖縄 桑江彩雲
ありがとうあなたの愚痴がバネになり 豊見城 下地順子
脳回路もつれて思い伝わらず 読谷 石嶺つる子
かすみ草身の程知って生き上手 読谷 高良秀光
便利さのスマホを連れて喋りすぎ 那覇 禱モモト
百均で生活小物間に合わす 糸満 玉城堅義


天賞宮城さん:沖縄ならではの川柳でしょう。常日ごろ感じている事をさらりと句に仕立てられました。お見事です。
地賞後盛さん:ドロドロの血ばかりを、吸ってくれまいかと思いますよね。
奨励賞新垣さん:下五の「すみません」が効いています。