琉球新報川柳

琉球新報川柳欄掲載句を、琉球新報社の許諾を得て公開しています。転載禁止。管理人の状況により公開が遅れることがあります。あらかじめご了承ください。
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選者:大田かつら(前沖縄県川柳協会会長)

投句規定:随時受け付け。未発表作品に限る。はがきに自由吟3句以内。住所、氏名(雅号の場合は本名も)、電話番号を明記。毎週火曜日に掲載(火曜休刊は水曜)。添削する事がある。
〒900−8525 那覇市天久905 琉球新報編集局文化部 「新報川柳」係
(管理人補足:掲載は投稿から1ヶ月〜2ヶ月後です)

平成30年1月16日掲載分

天賞
大国はすぐにジョーカー切りたがる 那覇 後盛秀行
地賞
一円の玉が胸張る消費税 那覇 渡嘉敷唯正
人賞
戌年へ拝んで捲る初暦 糸満 山城のぶう
奨励賞
花を見て妻の笑顔を思いだす 沖縄 安慶名昇
佳作
愚痴言える友とカラオケ時忘れ 宜野湾 崎山とし子
尽くしたが胸が高鳴る合否板 那覇 山内昌一
お隣の夫婦負けじと声響く 北中城 宮城好博
五年後の予定に迷う傘寿過ぎ 浦添 上原盛徹
鬼の目の涙は言葉より響く 北中城 国吉安子
断捨離へ今亡き友の年賀状 読谷 新垣喜邦
琴の音に母の記憶が蘇える 読谷 高良秀光
高いものうまいものとは限らない 宜野湾 宮里幸子
お年玉電子マネーじゃ気分出ず 豊見城 和田幸子
忘れない借りた金より貸した金 沖縄 垣花鷹志
追いかけよ夢には賞味期限なし 読谷 石嶺つる子


天賞後盛さん:「ジョーカー」とは特別なカードですね。大国を鼻に掛け、特別なカードを切りたがる。言い得て妙です。
地賞渡嘉敷さん:買い物をして、一円がたりない時の実感句ですね。日常の中のさり気ない事を上手く句に仕立てられました。
人賞山城さん:「無事を祈る」意味で拝むとした所が効いています。

平成30年1月9日掲載分

天賞
戌年へ平和を願いウートートゥ 那覇 禱モモト
地賞
簡単を難しくしているスマホ 八重瀬 森山文切
人賞
除夜の鐘遠くに聞いて無沙汰詫び 宜野湾 高橋けい子
奨励賞
ああ夫婦適度の愛に感謝する 糸満 名嘉真静子
佳作
多作多捨心に響く句を拾う 沼津 木俣邦捷
一病を味方につけて医者通い 那覇 友寄英雄
美人ママ知性と笑顔あふれさせ 那覇 池村幸夫
久茂地小瓦礫と化した子の母校 那覇 大城光代
モノレール景色に見とれ乗りすごす 北中城 比嘉若松
卒寿すぎ街を徘徊無事帰宅 北中城 小松呑水
散歩道笑顔で交わす心地良さ 沖縄 桑江彩雲
爺さんが歌う姿勢は裕次郎 北中城 高松呑海
今日の友ライバルにして上目指す 宜野湾 小浜廉市
感謝状忘れた頃に贈られる 糸満 玉城堅義
連れ合いと会話のはずむ年金日 沖縄 比嘉典子


天賞禱さん:ウヤファーフジ(御先祖)から伝えられてきた台所の「火の神」へ、今年の祈願をする姿が浮かびます。大切にしたい沖縄の「心」ですね。
地賞森山さん:老若男女スマホ時代、簡単な事でも、機能が多すぎて混乱するのですよね。
人賞高橋さん:人間の煩悩を祓う百八の鐘の音が遠くから聞こえ、人それぞれの思いはつきない。

平成29年12月26日掲載分

天賞
ロボットが案内すべて引き受ける 糸満 伊佐真行
地賞
部屋中が拍手している子の一歩 宜野湾 崎山とし子
人賞
全基地を農地に変えるボクの夢 読谷 島尻卓
奨励賞
図書館で休むお礼に本を借り 糸満 金城幸鷹
佳作
選挙終え自問自答で整理する 那覇 渡嘉敷唯正
言えぬこと十七音に思い込め 那覇 禱モモト
晴天の夜空切り裂くオスプレイ 北中城 大城勉
日米の狭間で揺れる基地の島 宜野湾 安里國基
モト彼と会える期待で同期会 那覇 上原とよ子
平穏な日々を刻んで安堵する 糸満 名嘉真宣京
曖昧な答えに丸く治められ 浦添 上原盛徹
疑いは晴れたというが深い傷 北中城 稲福呑雲
ぽっちゃりが恐る恐るに乗る秤り 恩納 伊芸元一
カーナビが無くともあの世みんな行く 豊見城 松川雄峰
裕次郎ひばり知らない子供たち 沖縄 新垣邦博


天賞伊佐さん:世の中の動きを瞬時に捉え、五七五に仕立てられたのはお見事です。
地賞崎山さん:初めての子や孫の歩きはじめは家族中大騒ぎになりますよね。その様子がよく伝わる作品で良いですね。
人賞島尻さん:島尻さんの夢は、多くの人の夢でもあることでしょう。この夢を実現させたいものですね。

平成29年12月19日掲載分

天賞
飽食が人もペットも追い詰める 那覇 大城千鶴子
地賞
言わなくて良かった胸を撫でおろす 本部 永井えいこ
人賞
生かされて平均寿命また延びる 糸満 山城のぶう
奨励賞
本物の虫は苦手な虫眼鏡 八重瀬 森山文切
佳作
新議員バッジ付ければすぐ威張る 那覇 後盛秀行
評論家チャンネルはしご選挙戦 那覇 村吉政常
必読と小さく書いた罠もある 沼津 木俣邦捷
宝くじ勝った時だけ神頼み 北中城 大屋みゆき
一病が喜寿の人生狂わせる 那覇 友寄英雄
ドッコイショ曽孫がまねて立ち上がる 宜野湾 田場房子
罵声にも金魚のごとくかわしたい 北中城 佐久本盛明
産直の野菜の人気主婦の列 那覇 山内昌一
盆踊り仏様よりあの浴衣 北中城 伊達政仁
脇腹がさらに気になるバイキング 那覇 宮良毅
母の風呂自由な時間一人じめ 糸満 佐久本小豆


天賞大城さん:「追い詰める」の表現が良いですね。声を出して読むと、五七五のリズムが心地良く響きます。
地賞永井さん:人間関係で、得てしてそういう場面に出くわすことがあります。それをさり気なく五七五に仕立てられた力量に拍手です。
人賞山城さん:「生かされて」の言葉の奥深さを噛み締めるばかりです。

平成29年12月12日掲載分

天賞
釣り糸に忍耐力を教えられ 東京 大矢和子
地賞
人のエゴ地球のリズム乱してる 読谷 島尻卓
人賞
高級酒あたり制する空の瓶 那覇 渡嘉敷唯正
奨励賞
笑い顔絞れとは無理ワッハッハ 那覇 禱モモト
佳作
外交は武器商いと大手ふり 石垣 松本敏
墜落も慣れてきたのか米軍機 今帰仁 玉城真光
謙虚さが打たれ強さを身につける 読谷 高良秀光
喜びも悲しみも知るカレンダー 読谷 石嶺つる子
口伝え早い仲間の艶話 浦添 上原盛徹
妻よりもポチとの会話増えてくる 宜野湾 安里國基
仏壇にそっと一礼朝帰り 北中城 高松呑海
記録的雨をもたらす温暖化 宜野湾 山城幸男
残業増えだんだん命削られる 糸満 玉城堅義
嫁にいつ排除されるかミスできぬ 那覇 屋良朝淳
鏡見る昔面影今いずこ 那覇 池村幸夫


天賞大矢さん:釣りをしない人にとって不思議な光景ですよね。「釣り糸に」の表現が効果的でよろしいです。
地賞島尻さん:自然をかえりみず、人間のやりたい放題の結果が、地球のリズムを狂わせている。いつかしっぺ返しがこないことを祈るばかりです。
人賞渡嘉敷さん:見るからに高級酒の瓶は分かり威圧的です。

平成29年12月5日掲載分

天賞
年賀状手書きの文字で光らせる 糸満 山城のぶう
地賞
ゴールまで女でいたい薄化粧 糸満 名嘉真静子
人賞
女装でもあまり違和感ない男 八重瀬 森山文切
奨励賞
川柳で出会った仲間宝物 豊見城 下地香代子
佳作
選挙程むなしさ残る祭りごと 沖縄 安慶名昇
べたついた餅に抱かれて歯がポキリ 那覇 前川真
おしゃれして鏡の返事欲しくなり 宮古島 安谷屋郁
戦力の放棄が救う地球危機 佐賀 岸恵子
仏だとおだてられては断れぬ 北中城 国吉安子
りんご割り蜜とは知らず二個も捨て 沖縄 比嘉典子
愚痴ばかり聞かされ悩む生き仏 北中城 小松呑水
背筋伸び元気あるねと孫が言う 沖縄 桑江彩雲
認知症車奪われ足も泣く 豊見城 垣花鷹志
物忘れ気をつけたのにまた忘れ 浦添 宮里直子
夫婦愛あうんの呼吸長続き 豊見城 比嘉信夫


天賞山城さん:「手書きの文字」とは、その人の個性や温かさも伝わりますよね。「光らせる」が効いています。
地賞名嘉真さん:何歳になってもオシャレ心を忘れない心意気に感じ入りました。
人賞森山さん:女装なさったのでしょうか。鏡に映る女装した男は、自分だったとか。ブロンドのカツラも良いですよね。

平成29年11月28日掲載分

天賞
有権者主役になれる総選挙 読谷 島尻卓
地賞
コンビニが増えて気になる客の数 那覇 村吉政常
人賞
思いやり持って誰とも接したい 那覇 上原とよ子
奨励賞
夫婦仲喧嘩をしても子が出来る うるま 比嘉春栄
佳作
核抑止傘は傘でも核の傘 那覇 山内昌一
十五夜に響くサンシン平和の音 那覇 真喜屋明
それぞれの夢を育てる自己投資 読谷 高良秀光
嫁泣かす人は天下も取り落とす 那覇 屋良朝淳
妻出世夫の内助知らん顔 糸満 玉城堅義
年金はあるだけでよし今を生き 八重瀬 本村隆信
バスタブでいざリハビリと正座する 那覇 大城光代
そっと出す秋の味覚のさんま缶 恩納 伊芸元一
何歳と聞かれ干支言い貝になる 読谷 石嶺つる子
布団干すおねしょしたのと孫が聞く 糸満 大城正雄
孫が来る聞いたとたんにえびす顔 那覇 垣花弘美


天賞島尻さん:そうですよね。清き一票を持つ一人ひとりが主役という事ですね。日常の一コマをさらりと句に仕立てられました。お見事です。
地賞村吉さん:ほんと、コンビニが増えましたね。他人事ながら気になるところです。
人賞上原さん:その思いやりは、また自分にかえってくるのかも知れませんね。

平成29年11月21日掲載分

天賞
原発をノーと言えない被災国 宜野湾 崎山とし子
地賞
よそ人に島を褒められ掻く背中 那覇 前川真
人賞
定年を消費期限と揶揄される 沼津 木俣邦捷
奨励賞
待ち時間詩作に耽る診療所 読谷 国吉真治
佳作
偏見は心に掛けたサングラス 宜野湾 高橋けい子
御先祖のお盆の旅費は誰が持つ 那覇 宮良毅
ウチカビで先祖金持ちなれるかな 今帰仁 玉城真光
老妻が鏡を見ては不満顔 沖縄 安慶名昇
焦げたパン旦那に出して大喧嘩 那覇 屋良朝淳
なにくそと頂上目指しもがく日々 北中城 大城勉
行政区はみ出す笑顔選挙カー 沖縄 よぎのりこ
ウチカビも少し多めにする景気 那覇 比嘉靖
お気楽な恋の代償高くつき 与那原 宮島玲子
趣味を持ち進化しながら花咲かす 豊見城 下地順子
はるかなる琉球の国忘れまい 沖縄 親泊利山


天賞崎山さん:平成23年3月11日のあの原発事故、「ノーと言えない」その言葉の奥の深さを、読者に委ねたいと思います。
地賞前川さん:下五の「掻く背中」に作者の思いが集約されていて効いています。
人賞木俣さん:「消費期限」と、揶揄されたのですか。そこは川柳人、句に仕立てられました。お見事です。拍手